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Soldering How-to2026.06.20

予備ハンダは"ねじってから"|より線がバラける失敗を防ぐ正しい順番

予備ハンダ(tinning)は、ケーブル製作の仕上がりを左右する大事な工程です。でも、順番をひとつ間違えるだけで台無しになることがあります。それが「より線をまとめずに、いきなり予備ハンダしてしまう」失敗。この記事では、あえて"悪い例"の動画を見ながら、なぜ先に先端をねじってまとめるべきなのか、そして正しい順番とコツを、ケーブル専門店KMsoundが解説します。

この記事で分かること
・より線をまとめずに予備ハンダする "悪い例"で何が起きるか
先にねじるべき3つの理由
「① ねじる → ② 予備ハンダ」の正しい順番とコツ
・やりがちな 「盛りすぎ」の落とし穴

これは"悪い例"です。より線(細い銅の素線の束)をまとめないまま予備ハンダすると、素線が散ってハンダが均一に回りません。本来は、この前に「ねじってまとめる」工程が入ります。

1. よくある失敗:より線を"バラけたまま"予備ハンダ

シールドの網線や芯線などのより線は、細い銅の素線が何本も束になってできています。被覆を剥いた直後は、この素線がふわっと広がった状態。ここでいきなりハンダごてを当てると、次のような問題が起きます。

つまり、失敗の多くは「ハンダの腕」ではなく"準備の順番"で決まっています。ハンダ付けそのものの基本は ハンダ付けのコツ|"3秒の判断" にまとめていますが、今回はその一歩手前の話です。

2. なぜ"ねじってから"なのか──3つの理由

予備ハンダの前に、より線の先端を指先で軽く「キュッ」とねじってまとめる。たったこれだけで、次の3つが変わります。

  1. ハンダが芯まで均一に回る:素線がひとつの束になることで、毛細管現象でハンダが内部まで吸い込まれ、表面までなめらかに仕上がります。
  2. はみ出し・ヒゲがなくなる:素線が散らないので、隣接端子へのブリッジやショートの火種を物理的に減らせます。
  3. 端子付けが一発で決まる:まとまった先端はプラグの端子(ホール・ラグ)に通しやすく、本付けでのやり直しが減ります。
補足:「強度が上がる」は半分だけ正しい。ねじってまとめると作業中に素線がバラけにくくはなりますが、ケーブルが引っ張りや振動で切れにくくなる本当の理由はコネクタ側のストレインリリーフ(ケーブル固定機構)です。プラグ選びの話は ノイトリックのプラグはなぜ選ばれるのか で解説しています。予備ハンダの役割は「強くする」より「確実につなぐ準備」と考えると正確です。

3. 正しい順番──「① ねじる → ② 予備ハンダ」

下処理から本付けまでの流れの中で、予備ハンダの位置づけを整理すると、こうなります。

  1. 下処理(被覆を剥く・整える)

    外皮を剥き、シールド網をまとめ、芯線を出す。詳しくは シールドケーブル自作の下処理

  2. 先端をねじってまとめる

    より線の先端を、指先で一方向に軽くねじる。素線がひとつの束になればOK。ここが今日の主役。

  3. 予備ハンダ(線材側)

    束ねた線にこてを当て、反対側からハンダを供給。芯まで染みて、うっすら銀色になったら離す。

  4. 本付け(プラグの端子へ)

    予備ハンダ済みの線を端子に固定して接合。流れは ケーブル製作のハンダ工程 に。

4. ねじるときの3つのコツ

5. やりがちな落とし穴──"盛りすぎ"に注意

ねじってまとめても、今度はハンダを付けすぎるとまた別の問題が出ます。

❌ 盛りすぎ:ハンダが線の奥(被覆の中)まで流れ込むと、その部分が硬くなり、柔らかい部分との境目が"折れやすい点"になります。被覆の中までテカテカに染みているのは付けすぎのサインです。
⭕ ちょうど良い:先端の露出部だけが、うっすら銀色。表面はなめらかで、束の形が分かる程度。これが理想です。

「ねじって、芯まで染ませて、でも盛りすぎない」。この加減は ハンダ付けのコツ の温度・量・引き際の考え方と同じです。

まとめ|順番を変えるだけで、失敗はぐっと減る

予備ハンダの失敗の多くは、腕ではなく順番。被覆を剥いたら、いきなりハンダではなく、まず先端をねじってまとめる。「① ねじる → ② 予備ハンダ」を守るだけで、ブリッジ・イモ付け・やり直しがぐっと減ります。今回の"悪い例"動画と、ご自分の作業を見比べてみてください。

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