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Product Development2026.11.01

インサーションケーブル(TRS→TS×2)を手頃に作れないか|Y字ケーブルの試作記録

TRSプラグ1本から、TSプラグ2本に分かれるY字のケーブル。一般に「インサーションケーブル」と呼ばれる形です。以前お客様から特注でご依頼いただいたことをきっかけに、もっと手頃な価格で作れないかと考え、プラグの組み合わせを変えて試作しました。今回は販売開始のお知らせではなく、試作の途中経過のご報告です。実物の写真と、この種のケーブルを使うときに確認しておきたいポイントもあわせてまとめました。

試作したインサーションケーブルの全体像。L型のTRSステレオプラグ1本から黒いケーブルが伸び、途中で2本に分かれてL型のTSモノラルプラグ2本につながっている

▲ 今回試作したインサーションケーブル(ステレオY字ケーブル)。上がTRS側、下の2本がTS側です

インサーションケーブルとは?|TRS1本をTS2本に分けるY字ケーブル

インサーションケーブルは、片側が6.35mmのTRS(ステレオ)プラグ1本、反対側がTS(モノラル)プラグ2本に分かれたY字のケーブルです。

どちらの使い方でも、TRSのTip(先端)とRing(中間)にそれぞれのTSプラグの信号線をつなぎ、Sleeve(根元)をグラウンドとして共有する、という構造は同じです。TSとTRSの違いそのものは TSとTRSの違いを図解|見分け方・使い分け・接続の注意点 で詳しく解説しています。

きっかけは、ペダルボード用の特注依頼でした

以前、ZOOM MS-70CDRとAlexander Pedals Rewindをつなぐための、省スペースなY字ケーブルを特注でご依頼いただきました。ペダルボードの限られたスペースに収まるよう、このときはオヤイデ P-6.3LとSquarePlug SP550-Sという小型プラグを使って製作しています。

小型プラグはボード上ですっきり収まる反面、仕入れ価格が高く、お届けする価格も高くなってしまうのが悩みでした。「必要な機能はそのままに、もっと気軽に使っていただける価格で作れないか」——これが今回の出発点です。

今回の試作|自社TSプラグ×TOMOCA製TRSプラグ

そこで今回は、プラグの組み合わせを変えて試作しました。TRS側とTS側で、メーカーの異なるプラグを使っています。価格を抑えながら、使いやすさと信頼性もできるだけ落とさないこと——これが今回の試作で目指していることです。

部分今回の試作で使ったもの
TRS側(1本)TOMOCA製 L型ステレオプラグ(6.35mm)
TS側(2本)KMsound自社のL型モノラルプラグ(6.35mm)
構造TRS側から1本で出て、途中で2本に分岐するY字構造
接続・仕上げすべてハンダ付け。分岐部は熱収縮チューブで保護・固定

TRS側:TOMOCA製 L型ステレオプラグ

TRS側に使ったTOMOCA製のL型ステレオプラグのアップ。ニッケル色の金属ハウジングに2本のローレット加工があり、プラグ先端にTip・Ring・Sleeveを分ける絶縁リングが2つ見える

▲ TRS側はTOMOCA製のL型ステレオプラグ。ローレット加工で、抜き差しのときに指がかかりやすい形です

TRS側のTOMOCA製プラグは、KMsoundのオリジナル製品ではなく、TOMOCA社の製品です。先端の絶縁リング2つで、Tip・Ring・Sleeveの3接点に分かれています。

TS側:KMsound自社のL型モノラルプラグ

TS側に使ったKMsound自社のL型モノラルプラグ2本のアップ。2本のケーブルが熱収縮チューブの分岐部から伸び、それぞれL型プラグにつながっている

▲ TS側はKMsound自社のL型モノラルプラグ。2本とも同じプラグを使っています

TS側の自社プラグは、普段のパッチケーブルでも使っているもの。価格を抑えやすいのが選んだ理由です。プラグの中身については 当店オリジナルプラグの中身を公開|4つのパーツに込めた理由 で紹介しています。

分岐部は熱収縮チューブで保護

Y字の分かれ目は曲げの力が集中しやすいので、熱収縮チューブで覆って保護・固定しています。熱収縮チューブの考え方は 熱収縮チューブの使い方|プラグ根元の断線を防ぐ固定術 にまとめました。

インサーションケーブルを使う前に確認したい3つのこと

試作品に限らず、市販のインサーションケーブルやY字ケーブルを使うときにも役立つポイントです。

  1. TipとRingの割り当てを、機材の説明書で確認する——インサート端子ではTip=SEND/Ring=RETURNの例が多いものの、逆の機器もあるとされます。ステレオ端子ならTip=左(L)/Ring=右(R)が一般的です。どちらのTSプラグがTip側かは、ケーブルの表示や色、テスターで確かめておくと迷いません。テスターを導通チェックのモードにして、TRSプラグの先端(Tip)と各TSプラグの先端に当て、ブザーが鳴った方がTip側です。
  2. 出力どうしを直結しない——Y字ケーブルは、信号を分けたり、ステレオの左右をまとめて1本で送ったりするためのものです。2台の機材の出力を1つの入力に混ぜたいときは、ミキサーを使うのが確実です。
  3. 分岐部とプラグの根元を引っぱらない——Y字の分かれ目は曲げや引っぱりの力が集まりやすい場所です。ボードに固定するときは、分岐部が宙に浮いて揺れないように留めておくと安心です。

次に試したいこと|分岐をプラグの根元から

実際に作ってみて、もうひとつ気になった点があります。TRSプラグの根元から、直接2本のケーブルを出す構造にできないかということです。

検討中の改良案のイメージ。TRSプラグの根元に赤い線が手書きされ、プラグの出口から直接2本のケーブルに分かれる形を示している

▲ 検討中の改良案。赤線のように、TRSプラグの根元から直接2本に分けられないか考えています(赤線は手書きのイメージです)

途中で分岐させるのではなく、プラグの出口からY字に分けられれば、分岐部分がなくなり、見た目も取り回しもさらにすっきりするかもしれません。

ただ、ケーブルの固定方法、プラグ内部のスペース、断線しにくい構造など、確認すべき点がまだいくつもあります。この改良案は現時点では検討段階で、完成した仕様ではありません。よりコンパクトで使いやすく、手頃な価格のY字ケーブルを目指して、引き続き試行錯誤しています。

皆さんのご意見をお聞かせください

今回のケーブルはあくまで試作品で、販売はまだ始めていません。今後の商品化も視野に入れて、実際に使う方の声を聞かせていただけたらうれしいです。

まずはいちばん大きな一問だけ、下のボタンから聞かせてください。

もう少し細かいこと——「この長さが欲しい」「この機材に使いたい」——は、お問合せ から自由に書いてください。いただいた声は、仕様の検討に使わせていただきます。

先にお断りしておきます——この記事の時点で、発売の時期・価格・仕様・対応機材は、まだ決まっていません。すべての機材での動作をお約束するものでもありません。「そもそも要らない」というご意見も、同じくらい参考になります。

Y字ケーブル・変換ケーブルのご相談は特注で。

「この機材とこの機材をつなぎたい」「ボードに収まる長さで作ってほしい」——
プラグの形状や長さを決めて、一本ずつ手作りします。まずはお気軽にご相談ください。

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