日本製熟練職人が一本ずつ手作り
まとめ買い・大口注文 ブランドについて お問合せ
ホームブログ / TS/TRSプラグの違い
Cable Know-how2026.08.24

TS/TRSプラグの違いとは?モノラル・ステレオの基礎とTRSの3つの使い道

シールドを買おうとしたら「モノラル」と「ステレオ」があった。機材の端子に TRSBAL と書いてある。——同じ形に見えるのに呼び名が違い、戸惑う方は多いはずです。この記事では①TSとTRSの違い ②手元のプラグの見分け方 ③TRSの3つの使い道 ④間違えて挿すと何が起きるかを、ケーブル専門店KMsoundが順番に整理します。

TSとTRSは何が違う?——接点の数がすべて

まず名前の正体から。TSもTRSも、プラグの接点(金属部)の頭文字を並べただけです。ここが分かると、あとの話が楽になります。

TSプラグとTRSプラグを並べて比較した図。TSは黒い絶縁リングが1本で接点はチップとスリーブの2極、TRSは絶縁リングが2本でチップ・リング・スリーブの3極になる

▲ 並べるとひと目で分かります。黒い絶縁リングが1本ならTS(2極)、2本ならTRS(3極)。TRSは、チップとスリーブの間に「リング」がもう1つ加わった形です。

結線も同じで、信号線はチップ端子へ、アース(シールド)線はスリーブ端子へ。実際の作業手順は ジャック交換・ガリ修理のやり方 にまとめています。

手元のプラグの見分け方——黒い絶縁リングを数えるだけ

リングの本数+1=接点の数

いま手元にあるケーブルがTSかTRSか。プラグの金属部の間に入っている黒い(白いこともあります)絶縁リングを数えてください。

絶縁リングは接点どうしを電気的に分けるためのもの。だからリングの本数+1が接点の数になります。商品表記の「モノラル/ステレオ」「2極/3極」や、機器側の BAL TRS INSERT PHONES といったシルク印刷も手がかりです。中の結線まで確実に知りたいときは ケーブルテスターで導通を確かめる のが早道です。

プラグがTRSでも、中のケーブルの構造が合っていなければバランス伝送はできません。プラグの極数と、ケーブルの芯数は別の話です。ギターシールドのような「芯線1本+シールド」の構造では、線が2本ぶんしかないためバランス伝送には使えません。バランス接続用に買うときは、「TRSプラグ」であることに加えて、芯線2本+シールド(いわゆる2芯シールド)のケーブルかどうかも確認してください。

サイズ(6.3mm/3.5mm)は極数とは別の軸

極数(TS/TRS)とサイズ(外径)は独立した別の軸です。6.3mmにもTS/TRSがあり、3.5mmにもTS/TRSがあります。

サイズ呼び名よくある組み合わせ
6.3mm1/4インチ/標準プラグ/フォンTS=ギター・ベースのシールド、パッチ。TRS=バランス機器間、ヘッドホン、インサート
3.5mmミニ/ステレオミニTRS=ステレオ接続が主流。TRRS=マイク付きイヤホンなど
2.5mm超小径一部の機器やヘッドセットなどで見かけます

6.3mmは厳密には約6.35mm(1/4インチ)ですが、商品表記では6.3mmと書かれるのが一般的です。3.5mmプラグの内部構造と点検のポイントは ステレオミニ(3.5mm)ケーブルの試作レポート にまとめています。

TRSの3つの使い道——同じ形なのに中身が違う

ここが本記事の核心です。TRSは見た目が同じまま、まったく違う3つの用途で使われます。

用途Tip(先端)Ring(中間)Sleeve(根元)
①ステレオ左(L)右(R)共通グラウンド
②バランス(1ch)ホット(+)コールド(−)グラウンド
③インサート一般に SEND一般に RETURNグラウンド

①ステレオは、左右2チャンネルを1本にまとめる使い方。ヘッドホン端子やステレオミニケーブルがこれです。

②バランス接続は、1チャンネルの信号をホット・コールドの2本に分けて送る方式で、ノイズに強く長く引き回しやすいのが特長です。仕組みは XLRケーブルとは?バランス接続の仕組み で詳しく解説しています。

③インサートは、ミキサーのINSERT端子で「送り(SEND)」と「戻り(RETURN)」を1本のTRSにまとめる使い方。片側がTRS、反対側がTS×2に分かれるY字ケーブルになります。ただしTipとRingのどちらがSENDかは機器によって異なります。一般には Tip=SEND の例が多いとされますが、逆の機器もあるため必ず取扱説明書をご確認ください。

持ち帰りはこの一文です。「TRSという形は3本の線が通せるという意味でしかなく、その3本に何を流すかは機器側が決めている」。バランス用TRSとステレオ用TRSは見た目が完全に同じで、プラグを眺めても区別できません。判断材料は端子の表記とマニュアルです。

間違えて挿すと何が起きる?——症状と、避けたいこと

前提として、ギター・ベース、エフェクター間はTSが基本です。楽器の出力はアンバランスのモノラルなのでTSで足ります(→ シールドケーブルの選び方)。そのうえで、取り違えたときに起こり得ることを整理します。

切り分けは別のケーブルに替えて同じ症状が出るか比べるのが早道。ケーブル側か機器側かがすぐ分かります。

あわせて避けたい3つのこと

TRSジャックは「スイッチ」にもなる——アクティブベースの電池が減る理由

「弾いていないのに電池がなくなる」「久しぶりに出したら音が出ない」。プリアンプ内蔵のアクティブベースでよく聞く話ですが、原因はTRSの構造にあることがあります。

アクティブ回路を積んだ楽器では、出力にステレオ(TRS用)ジャックを使い、リング接点を電池回路のスイッチ代わりにする設計が広く使われています。ここにTSプラグを挿すと、プラグのスリーブがジャックのリング接点とスリーブ接点を橋渡しして回路がつながり、電源がONになる——という仕組みです。

だから「使い終わったらケーブルを抜く」。挿しっぱなしは電源が入りっぱなしと同じで、電池が減り続けます。長期間使わないときは電池を外しておくのも有効です。なおすべての楽器がこの方式ではありませんので、ご自身の楽器の取扱説明書でご確認ください(パッシブ楽器には関係ありません)。

なお、抜き差しを繰り返すジャックは消耗部品でもあります。ガリつきや接触不良が出てきたら ジャックの交換・修理 の出番です。

買う前・作る前のチェックリスト

最後に、そのままメモできる形でまとめます。

  1. つなぐ機器の端子表記を見るTRS BAL BALANCED INSERT PHONES INPUT)。書いていなければマニュアルで確認。
  2. TSかTRSかを決める。ギター・ベース・エフェクター間=TS/バランス機器間・ヘッドホン・インサート=TRS。
  3. サイズを確認(6.3mm/3.5mm/2.5mm)。極数とサイズは別の軸です。
  4. ケーブルの構造も確認。プラグがTRSでも、芯線1本+シールドの構造ではバランス伝送にはなりません。
  5. 長さは少し余裕を持たせる(→ ケーブルの長さは音に影響する?)。
  6. プラグの向き(ストレート/L字)。機材の背面や壁際、ペダルボードではL字が効きます。
  7. 迷ったら「何と何をつなぎたいか」を伝えて聞く。判断材料の全体像は ケーブル選びガイド もどうぞ。

TS/TRSは覚えることが少ないわりに、間違えると原因の分かりにくいトラブルになります。「リングの本数+1=接点の数」「TRSの中身は機器が決めている」——この2つだけ持ち帰っていただければ十分です。

必要な形の一本を、お作りします

KMsoundでは CANARE・MOGAMI を使ったケーブルを、長さ・カラー・プラグ形状を選んで
熟練職人が一本ずつ手作りし、導通を確かめてから出荷しています。
「何と何をつなぎたいか」をお聞かせいただければ、必要な仕様でご相談できます(→ お問合せ)。

製品を見る