エフェクターのバッファーとは?トゥルーバイパスとの違いと、ケーブルの総延長から決める入れどころ
ペダルを並べたら、全部OFFでも音がこもった気がする——その原因はバッファーの有無と、ボード全体のケーブルの長さにあるかもしれません。バッファーは音を太くする機材ではなく、ギターの弱い信号を長いケーブルに負けにくい形に変える回路です。トゥルーバイパスとの違い、手持ちのペダルで確かめる方法、総延長から入れる位置を決める手順を、ケーブル専門店KMsoundが整理します。
▲ 赤=ギターが直接駆動する区間、青=バッファーが駆動する区間(長さは計算例)。
結論:バッファーは「長いケーブルの手前」に。要るかどうかは総延長で決める
① バッファー=ギターのようなハイインピーダンスの信号を、低インピーダンスに変えて後段へ送る回路(BOSS公式解説)
② トゥルーバイパスのペダルがOFFのとき、ギターはその先のケーブルをすべて直接駆動する
③ まず総延長を数え、ギターが直接つながる区間が長いなら入口にバッファー。ファズは例外
ただし「バッファーを入れれば何mでも大丈夫」ではなく、影響が小さくなるだけです。ケーブル長と高域の関係はケーブルの長さは音に影響する?で詳しく書いています。なお、高域が減る「ハイ落ち」と、雑音が増える「ノイズ」は別の問題です(ノイズ対策)。
バッファーとトゥルーバイパスの違い|「OFFのとき信号がどこを通るか」
| 方式 | OFF時の信号 | 長所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| トゥルーバイパス | スイッチで入力と出力を直結し、回路を通らない | OFF時はペダルの回路の影響を受けない | OFFのペダルが並ぶと、ギターがその先のケーブルも駆動する。切替時のポップ音、ディレイ・リバーブの残響が切れる点も(Roland UKブログ) |
| バッファードバイパス | OFFでもバッファー回路を通る | 後段のケーブルの影響を受けにくい | 設計の悪いバッファーは音を損ねうる(同ブログ) |
| 単体バッファー | 常時ON | 置いた位置から後ろを低インピーダンスで送れる | 置く位置次第で、ファズなどとの相性が変わる |
どちらが良い・悪いではなく、ボードの総延長と並べるペダルの数で向き不向きが変わります。BOSSは自社ペダルすべてにバッファー回路を載せていると公式に説明しています。
【実践】自分のボードのケーブル総延長を数える
- ギター→ボード入口のシールドの長さ
- ペダル間のパッチをすべて足す(本数は台数−1。パッチケーブルの選び方)
- ボード出口→アンプのシールドの長さ
- FXループを使うなら往復分も加える(FXループのつなぎ方)
- 「ギターが直接駆動する区間」に印をつける=ギターから、最初のバッファー(またはONのバッファードペダル)までの合計
計算例(測定ではなく、公表値×長さの掛け算です):シールド3m+パッチ15cm×5本(0.75m)+シールド5mで合計8.75m。6台すべてトゥルーバイパスでOFFなら、ギターが背負うのは8.75m分。先頭にバッファーがあれば、ギターが背負うのは最初の3mだけです。CANARE GS-6の公表静電容量160pF/mなら、計算上は3mで約480pF、8.75mで約1,400pF。MOGAMI 2524は販売店の表記で130pF/mです(G-SPOTの比較表も参照)。「何pFから聴こえる」とは言えませんが、自分のボードでどこが長いかは数字で見えます。ペダル内部の配線やジャックの分も少しずつ加わります。
ギターが直接駆動するのは1本目です。ここを足元まで届く最短の長さにするのが手軽な対策で、1本目の長さを決めてギターケーブルを選ぶこともできます。
手持ちのペダルは「バッファード」?確かめる方法
- 取扱説明書・公式の仕様表の「バイパス」欄を見る。例:BOSS TU-3は仕様に「バッファード・バイパス」、入力インピーダンス1MΩ・出力インピーダンス1kΩと記載されています。
- 切替式の機種もあるので、スイッチやDIPの有無を取説で確認します。
- ボードの1台抜き比較:ギター→短いケーブル→アンプで基準音を覚え、先頭のペダルを1台ずつ抜いて比べます。
仕様表では「入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低い」のがバッファーの性格です。チューナーの位置と端子はペダルチューナーのつなぎ方へ。バッファード・バイパスのチューナーを先頭に置けば、それが入口のバッファーになります。
バッファーの入れどころ判断表|先頭・最後・ファズの後
| 状況 | 置き場所 | 理由 |
|---|---|---|
| ボード入口までが長い/トゥルーバイパスが多い | 先頭 | 後段のために信号を保てる(BOSS)。できるだけ前に置くのが基本(Premier Guitar) |
| ボード出口→アンプが長い | 最後のペダルがバッファードか確認 | 最後のアクティブなペダルの出力がアンプまでのケーブルを駆動する(Premier Guitar) |
| ファズ(特にヴィンテージ系)を使う | ファズをギター直後、バッファーはその後ろ | 多くのアナログファズはバッファーを通った信号と相性が悪いことがある(BOSS) |
| 総延長が短い(宅録で数mなど) | まず耳で要否を確認 | 無理に足さない |
ファズの例:BOSS FZ-1Wの仕様は、入力インピーダンス1MΩ(エフェクト・オフ)/22kΩ(エフェクト・オン)です。ONで入力側の条件が大きく変わるため、前に何があるかで反応が変わりうる、と考えると理解しやすくなります。並べ方全体はエフェクターの接続順番へ。
バッファーを複数入れて問題ないか。Roland UKブログの筆者(Paul White氏)は、1〜3台のバッファード・ペダルで意味のある変化は感じなかったと書いています。一方で設計の悪いバッファーが重なると音を損ねうるとも述べています。あくまで一人の見解として、自分の耳で確かめてください。
まとめ:バッファーを足す前に、1本目と最後の1本を見直す
□ 総延長を数えた
□ ギターが直接駆動する区間に印をつけた
□ 手持ちペダルのバイパス方式を取説で確認した
□ ファズの位置を先に決めた
□ ボードの1台抜きで聴き比べた
失敗しやすいのは、「トゥルーバイパスなら常に音が良い」と思い込むこと、バッファーを「音を太くする機材」と考えて足すこと、ファズの前にバッファー内蔵ペダルを置いて細く感じることの3つです。バッファーは長いケーブルや多数接続での劣化対策で、音色を作る機材ではない、という整理はサウンドハウスのスタッフブログも同趣旨です。
ケーブル側でできるのは、1本目を必要以上に長くしないこと、ボード→アンプも実測で決めること(長さの考え方)、パッチを短く確実に作ることです。KMsoundのケーブルは職人が一本ずつ手作りし、出荷前に導通を確認しています(全数チェックの手順)。長さをcm単位で指定できるので、総延長を必要最小限にできます。
総延長を数えたら、1本目と最後の1本を
バッファーを足すか迷ったら、まずケーブルの長さから。CANARE・MOGAMIのケーブルを、
長さ・カラー・プラグ形状を指定して熟練職人が一本ずつ手作りし、出荷前に導通を確認しています。